香りが日本産なのだから、ケースも日本産にこだわるのは当然のこと
日本人が纏うために作る日本の香り【kaorito 練り香水】は、実は香りよりも先に容器のデザインが決まりました。
かおりとの精油商品は、かおりと代表である古山が欲しいと思ったものを商品化した、プロダクトアウトの商品ばかり。
ところが、練り香水は「俳優さんが練り香水を使っていてかっこいいと思ったんだけど、商品化できない?」とアイディアを頂いたことからスタートした、初のマーケットインの商品。
「色はダークカラーで、片手で使える大きさにして欲しい」という男性の意見に加え、かおりとがこだわったのは「天然素材」「日本産」のもの。
六甲山のヒノキの提供者でもあるシェアウッズのヤマサキ氏に「日本らしさのある黒い木でケースを作りたい」と持ち掛けたところ、第一候補に挙がったのは「黒檀」でした。
確かに黒檀は、仏壇などに使われ古くから日本の文化の中にあった材木。けれど、日本産ではありません。
改めて「日本の樹木を、黒くすることは不可能ですか?」と質問したところ、返ってきた答えが「楢(なら)の鉄染め」でした。
鉄染めは、古くから日本で草木染や木の器の色付けに使用されてきた技法。
染料は一切使わず、木に含まれるタンニンと鉄の化学反応によって染める方法です。
※採用したケースは、木製の食器と同様オイル(ワックス)で磨き加工をしています。
このケースの試作品を見た時、木目の美しさや一つ一つ表情の異なる個性に一目ぼれし、即採用を決めました。
大きさや形も、何人もの男性に実査に手に取っていただき、一番しっくりくるものを選びました。
何百という単位で作っていくと、楢の木のどの部分を使うか、またその材がどれくらいのタンニンを含んでいるかにより、割れてしまうものや染が濃く入りすぎるもの、焼印の入り方の違い等も出てきました。
けれど、木工職人が一つ一つ手作りするケースは、それ自体を個性として唯一無二の存在となると考えています。
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