精油の物語:ブレンド精油『ことの始まり』
「私、なんのために頑張ってきたんだっけ…」
目先のうまくいかないことにとらわれて、焦燥感にかられる時、
上ずった気持ちばかりが先行し、自分の本当の気持ちが分からなくなってしまった時、
そんな時って誰にでもあると思うんです。
もうそうなると悪循環ばかり。
たくさんあるはずの選択肢も見えなくなって、がちがちに固まってしまう…
この香り作りに着手した時、そうなってしまう前に、ニュートラルな気持ちになって、どの方向にでも舵を切れる香りを作りたいと思っていました。
格闘技や球技のアスリートたちが敵と相対したときに、どこにでも動き出せる、ニュートラル状態…
そんな香りの名前を決めかねていた時、手にした「吉田松陰語録」の中に、あった言葉が「ことのはじまり」
私たちの心や体がニュートラルな状態にある時というのは、とても落ち着いていて、集中していて、本来自分がやりたいことができる、ベストな状態。
だから、忙しさや障壁の多さに打ちのめされ、がちがちに固まってしまって、身動きが取れなくなってしまった時に、その「こと」を起こした時のやる気に満ち溢れていたベストな自分に戻る為の香りとして「ことのはじまり」を作りました。
メインに据えたのは、戦国の武将が戦前の気持ちを整えるために使ったといわれる檜や桧葉。
気持ちが前のめりになっている時にその力を発揮します。
そこに添えたのは高野槙のグリーンがかった香り頭の仲をクリアに研ぎ澄ませてくれます。
また、果実の実りである三宝柑の香りは背中をそっと押してくれます
私たちの祖先は森の中で暮らしていました。
私たちの命の始まりでもある森の香りは、殺菌作用が高いことでも知られています。
気持ちが焦っている時は、免疫も乱れて体調を崩しやすい時でもありますから、森の香りで心も体も元気を取り戻せたら良いなと思います。
個人的には普段あまり手にしないブレンドですが、不思議なことに迷いがある時には心地よく感じる香りのひとつ。
そして、香りに包まれてしばらく過ごすと、自然とまた次の一手を考えている自分に出会えるのです。