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香りが変わったかも?と思ったら
「いつもと香りが違う気がする…?」
そんなふうに感じたことはありませんか?
精油は自然由来のとても繊細な存在です。時間や環境の影響を受けて、香りのニュアンスや色が少しずつ変化することがあります。
大切に使っていたのに、なんだかもったいない…。
そんな思いをしないためにも、精油の保管方法を少しだけ見直してみませんか?

精油の保管で気をつけたい3つのこと
精油をきれいな状態で保つために、基本として次の3つのポイントがあります。
- 高温多湿を避ける
- 直射日光を避ける
- 空気に触れさせない(キャップはしっかり)
精油は揮発性が高く、酸化しやすい性質があります。
フタをきちんと閉めて、光や熱を避けるだけでも、香りや成分の変化を防ぐことができます。
どこで保管するのが正解?
おすすめの保管場所:
- 引き出しの中
- クローゼットの奥
- 日光が差し込まない棚
避けたい場所:
- 洗面所(湿気が多く、温度差がある)
- 窓辺(直射日光)
- 暖房の近く
- 車の中
冷蔵庫での保管も可能ですが、温度差や湿気に注意が必要です。
保存する場合は、密閉容器に入れて取り出すたびに結露しないよう配慮しましょう。
精油の容器にも意味がある
茶色や青のガラス瓶は、光から精油を守る遮光性のためのものです。長期保存にも適しています。
一方でプラスチック容器は、揮発した成分が容器に影響を与える可能性があるため、長期保存には不向きです。
また、スポイトやゴム製キャップなどでは、素材によっては長期間使用するうちに、精油との接触によってごく微量の成分が溶け出す可能性も指摘されています。
特にフタル酸エステル類※などは注意が必要です。
香りの質を守るためには、遮光ガラス瓶+ドロッパー式キャップのように、精油に適した容器を選ぶことが大切です。
使用期限の目安
- 柑橘系(圧搾法):6ヶ月以内
- その他の精油:1年以内
「かおりと」では、精油を化粧品の香料原料として使用しており、それに適した管理保管をしていますが、雑貨として販売している精油の使用推奨期限を充填から2年以内、販売は充填から1年以内のものに限定しています。
また、ほとんどの精油が充填から半年以内に販売・お届けしているのが現状です。
一部の他社製品では、3〜5年の使用期限が記載されていることもありますが、精油は揮発性が高いため、長期保存中に成分の変化や目減りが起こることも。
揮発によって目減りするということは、失われる成分があるということ。それは、香りのバランスを大きく左右し、結果として本来の香りの美しさが損なわれる可能性もあります。

最近話題になった「フタル酸エステル混入」問題について
最近、海外で販売されている一部ブランドの精油から、微量のフタル酸エステル類が検出されたという英文記事がSNS上で話題になりました。
GC-MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)などの精密な分析手法では、こうした微細な成分も検出されるようになってきており、容器や保管環境が精油の品質に影響を与え得ることが、あらためて注目されています。
問題は「どのブランドが良い・悪い」ではなく、どんな素材で、どのように保管されていたか。
つまり、どんなに良い精油でも、保存方法や容器が適切でなければ、意図しない成分が混入するリスクはゼロではないのです。
ですから、購入から使いきるまで、以下の3つにはじゅうぶん注意してほしいと思っています。
- なるべく新しいものを選ぶ
- なるべく短期間で使い切る
- 適切な保管環境・容器で管理する
劣化のサインを見極める
次のような変化が見られた場合は、精油の劣化のサインかもしれません
- 香りが重くなる、酸っぱいにおいがする
- 色が変化する
- 液が濁って見える
そのような場合は、肌に使うのではなく、芳香浴や掃除など香りを楽しむ用途に切り替えて使うのがおすすめです。
かおりとの精油管理について
「かおりと」では、精油を自社製品やOEM化粧品の香料としても使用しているため、香りの美しさだけでなく、品質や成分の劣化の有無にもこだわっています。
仕入れ・充填・保存・出荷に至るまでのすべての工程で、できる限りの管理をしています。
香りは目に見えませんが、日々の気持ちをそっと整えてくれる存在です。
その香りが本来の姿のまま届くように、保管や取り扱いにもほんの少しだけ気を配ってみてください。
精油は植物からの贈りもの。
ちいさなひと工夫が、香りとの関係をより心地よいものにしてくれます。
※注釈:フタル酸エステル類とは?
フタル酸エステル類は、プラスチックをやわらかくするために使われる可塑剤(かそざい)の一種です。
一部の種類は、長期間使用した際に容器素材から中身に微量移行することがあり、特に精油のような脂溶性・揮発性の高い成分との接触では、より注意が必要とされています。
また、フタル酸エステルの一部成分は、過去に動物実験などで内分泌系への影響が示唆されたこともあり、現在ではEUなどで化粧品や食品包装材への使用が制限・禁止されているケースもあります。
精油中に含まれてしまうケースはごく稀ですが、容器や製造環境によって混入するリスクがあるため、「フタル酸エステルと精油の関係」に関心を持つ方が増えています。