今回ご紹介するのは、スギ木部精油。
日本人にとって、もっとも身近な樹木のひとつである「杉」の、幹の部分から得られる樹木系の精油です。
樹木系精油とひとことで言っても、樹種によって成分構成は大きく異なります。
香りの印象が違うということは、その香りを形づくる成分、そして人に与える作用もそれぞれ違ってくるのですが、杉の木部がもたらすのは圧倒的に深い鎮静です。
日本の暮らしとともにあった杉という樹木

杉は古くから、日本の建築や信仰、生活文化の中心にあった木です。杉は比較的成長が早く寒い地域でも育つため、家や家具、食品保存などに積極的に使われてきました。
また、まっすぐに伸びる姿は「清らかさ」や「静けさ」の象徴とされ、ご神木としてまつられている地域も多くあります。
軽くて加工しやすく、そして香りを持つ杉は、住まいの柱や天井板、桶や樽などにも使われているので、私たちが「木の香り」と聞いて思い浮かべる香りは、知らず知らずのうちに杉の記憶が含まれているのかもしれません。
葉の精油が比較的すっきりとした印象なのに対して、木部の精油は、長い年月をかけて蓄えられた成分が中心となり、より落ち着いた香り。その香りを構成する成分は、ゆったりと私たちに寄り添ってくれます。
スギ木部精油の成分構成を深く見てみる
スギ木部精油には、カジネンやムウロレンといったセスキテルペン系成分が多く含まれています。
これらは揮発がゆるやかで、香りの広がり方も穏やかなのが特徴です。
さらに、キュベノール類、エレモール、ユーデスモールなどのセスキテルペンアルコールも含まれていますが、こうした成分が多い精油は、神経の高ぶりを静かに落ち着かせる方向へ働きやすいといわれています。
同じ樹木系精油でも、軽やかな成分が多いものはリフレッシュし前に進む力をもたらしますが、スギ木部は「深く休むための木の香り」です。
決して派手に主張する香りではありませんが、背景に溶け込み静かに力を養ってくれるような存在の香りは、深い休息が必要な時にしっかりと寄り添ってくれます。
・深い休息が必要なくらいに疲れているとき
・眠る直前まで興奮状態が続き、なかなか寝つけないとき
・神経が過敏になっているとき
自然に呼吸が深くなり、静かに深く整えてながら休息モードに切り替えてくれる。
それが、スギ木部精油の持つ個性です。
スギ木部精油の香りの特徴
立ち上がりは控えめで、乾いた木材を思わせる落ち着いた香りです。
その時のコンディションによって、樹木の甘さを感じることもあれば、スパイシーさを感じることも。
※スパイシーさの正体ハムウロレンです。
香りの決め手となっているのは、キュベノール。
酒樽や升の香りとしても知られている、「木のにおい」を連想させる香りです。
ブレンドに使うと、ほかの香りを邪魔しないけれどしっかり支えてくれる縁の下の力持ちになるので、日本の精油のベースノートしてとても優秀です。



